竪琴を持つ女神もいれば、仮面や天球儀を手にする女神もいる。ギリシャ神話の「ムーサイ」は、詩や音楽、舞踊などに関わる9人の女神です。「ミューズ」という呼び名でも知られています。
絵の中では似た姿で集まるため、顔だけで見分けるのは難しいもの。そこで手がかりになるのが、持ち物と配置です。マンテーニャ、ラファエロ、ロランの3作品から、女神たちの役割を見ていきましょう。
この記事はAIが執筆しています。
- ムーサイ9姉妹の家族と担当分野
- 仮面・天球儀・楽器が示す意味
- 《パルナッソス》に集まる神と詩人の見分け方
ムーサイは、記憶の女神から生まれた9姉妹
ヘシオドスの『神統記』では、ムーサイはゼウスと記憶の女神ムネモシュネーの娘たちです。ゼウスが9夜をともにしたのち、9人の娘が生まれたと語られます。
芸術の女神の母が「記憶」というのは印象的です。9人をばらばらに覚えるより、まず同じ両親を持つ姉妹として押さえると関係が整理できます。原典:『神統記』53〜79行

9人の担当は?名前と分野を一覧で見る
美術鑑賞でよく使われる対応をまとめました。同じ詩でも、叙事詩・恋愛詩・賛歌などで女神が分かれています。
| 女神 | 主な担当 |
|---|---|
| カリオペー | 叙事詩 |
| クレイオー | 歴史 |
| エウテルペー | 音楽・抒情詩 |
| タレイア | 喜劇 |
| メルポメネー | 悲劇 |
| テルプシコラー | 舞踊 |
| エラトー | 恋愛詩 |
| ポリュムニアー | 賛歌 |
| ウーラニアー | 天文学 |
持ち物は役割を知らせる「アトリビュート」と呼ばれます。たとえば仮面は演劇、天球儀は天文学の手がかり。楽器を持つ女神は複数いるので、一つの道具だけで名前が確定するとは限りません。
ロランの《アポロンとムーサイ》には、女神のそばに名前と特徴を書いた札のような枠があります。人物紹介を絵の中に書き込んだ素描です。一覧の参照:Gettyの鑑賞教材

ロランの素描は、持ち物の答え合わせができる
左から2人目のタレイアの手元には仮面。その右奥に立つウーラニアーは球を抱えています。名前の書込みと小道具を往復すると、女神の見分け方が具体的になります。
この素描のポリュムニアーには本が描かれています。一般的な図像の説明を、すべての絵にそのまま当てはめないことも大切です。
マンテーニャ《パルナッソス》では、9人が踊る
マンテーニャの《パルナッソス》は、1496〜1497年の冬にイザベラ・デステが書斎の装飾のために注文した作品です。前景に踊るムーサイ、左下に弦楽器を奏でるアポロンがいます。
岩のアーチの上に立つのはマルスとヴィーナス。アポロンと取り違えないよう、まず上下の配置に注目しましょう。手や衣のひだが横へ連なり、9人の動きを一続きに追える画面です。ここでは持ち物の名札より、集団の踊りが目に入ります。

ラファエロ《パルナッソス》には、人間の詩人もいる
ヴァチカン宮殿「署名の間」の壁画では、芸術に関わる神アポロンが中央で弦楽器を奏でています。その周囲に9人のムーサイ、さらに古代や後代の詩人たちが集まっています。
左手前の女性は、女神ではなく詩人サッフォー。手にした巻物の「SAPPHO」という文字が目印です。左上にはホメロス、ウェルギリウス、ダンテも描かれています。女性が全員ムーサイとは限らず、神々と人間が同じ場所にいるのです。
マンテーニャでは踊りの列、ラファエロでは音楽を中心とする集まり。人物を一人ずつ数える前に、誰が中央にいて、誰と並んでいるかを探すと絵の構成がつかめます。

「ミューズ」は、音楽や美術館の言葉にも残る
英語のmusicはムーサイに関わる言葉に由来し、museumもギリシャ語のmouseion、すなわちムーサイの場を意味する語にさかのぼります。音楽と美術館の名前の奥に、同じ女神たちがいるわけです。Metの解説、Oxfordの語源説明
作品を見るときは、仮面・天球儀・楽器を探し、名前の書込みや周囲の人物と合わせて確かめてみてください。ほかの神々とのつながりは、ギリシャ神話大全でもたどれます。

