フェルメールの室内画を見ると、私には少し不思議な感覚があります。描かれたものの質感は、そこに本当にあるように感じられる。それなのに、部屋全体はシルバニアファミリーのような、小さな箱庭にも見えるのです。
その感覚が腑に落ちたきっかけが、カメラ・オブスクラという装置の存在でした。もしかしたらフェルメールは、肉眼で目の前の部屋を見るだけでなく、レンズを通して映し出された世界も見ていたのではないか。そう考えると、絵を見るときの問いがひとつ増えます。
この記事はAIが執筆しています。

・フェルメール研究でわかることと限界
・光の描き方と自分の見方を比べる
光で風景を映す仕組み
カメラ・オブスクラは、ラテン語で「暗い部屋」を意味します。暗くした部屋や箱に小さな孔を開けると、外から入った光によって、向かいの面に外の景色が上下逆さまに映ります。孔にレンズを取り付け、より明るく鮮明な像を得る形式もありました。鏡を組み合わせて、机の上などに像を映す装置もあります。

アムステルダムの研究が示す可能性
では、フェルメールは実際に使ったのでしょうか。ここは、可能性と確認できている事実を分けておきたいところです。

アムステルダム国立美術館は2023年、グレゴール・J・M・ウェーバーによる研究を紹介しました。注目されたのは、デルフトにあったフェルメールの家の隣のイエズス会施設です。そこで活動した、画家でもある司祭イサーク・ファン・デル・メイの素描に、カメラ・オブスクラの像に特徴的な表現が見られるとされました。ウェーバーは、こうした近隣のつながりや絵の光の表現から、フェルメールが装置に触れ、着想を得た可能性を論じています。[2]
美術館の発表は光学装置からの影響を強く支持しています。ただし、そこから「どの作品を、どの装置で、どのように描いたか」まで確定したと受け取ることはできません。ロンドンのナショナル・ギャラリーも、フェルメールが装置を試した可能性という慎重な説明をしています。[3]
画家が何を選んだかを見る
装置の話を知ると、絵がそのまま投影像をなぞったもののように思えるかもしれません。けれども、2022年に発表された米国ナショナル・ギャラリーの研究では、フェルメールが光沢のない布にも丸い光の表現を用いたことが指摘されています。研究者たちは、装置の見え方をそのまま再現する以上の、画家自身による選択に目を向けています。[4]

何をはっきり描き、何を曖昧にするか。光をどこに置き、視線をどこへ導くか。道具を使った可能性を考えることは、そうした絵の工夫を見つける入口にもなります。
絵の前から日常へ
身近なところでは、目の前の部屋を眺めたあと、同じ場所からスマートフォンで撮ってみるとどうでしょう。写真には何が入り、何が外れたか。撮った画面では、どこに最初に目が向くか。自分が部屋の中で動きながら見ていたときとは、どんな違いがあるでしょうか。
そして、もう一度フェルメールの絵を見る。私はこの部屋を、どこから眺めているのだろう。画家の道具をめぐる疑問は、絵を見る自分の位置や、日常の見方を問い直すことにもつながっていきます。
参考資料
[1]国立科学メディア博物館 カメラ・オブスクラの仕組みと歴史
[2]アムステルダム国立美術館 ウェーバーの研究紹介(2023年1月6日)

