2025デザイン研究/事例0

Golden antique clock face is showing time passing on a background of intricate clockwork gears

【デザインのルーツ探し】時計のカタチはどこから来たのか?

現代の私たちが日々目にしているスマートウォッチやアナログ時計。しかしその「形」には、なんとなくじゃない、“意味”や“背景”があります。

今回の授業では、学生それぞれが一つの時計を選び、その形や機能のルーツを探っていくリサーチの第一歩として、まずは教員の私自身がスマートウォッチを例に、どのように考えて整理していくかを見せました。

アイテムを選定し「形」や「機能」を一度分解・整理するところから始めます。そこから「そもそもこの形はどこから来たんだろう?」という問いを出発点に、過去の資料や歴史をたどっていきます。

形のリサーチ方法:3ステップ

アイテムの選定

比較対象を選ぶ(1つの時計をピックアップ)自分の手近なアイテムでもいいですし、皆であつめた資料の中から1つえらんでもOKです。ですので、まずは3つ目の資料あつめからアイテム選定を行ってもOKです。

形や機能の整理

その時計の形と機能を整理します。たとえば私のスマートウォッチには──

  • 正方形の液晶画面
  • 画面の中には丸い文字盤
  • 腕に巻く形状
  • 短針と長針(これって何がルーツ?)
  • 通知機能つき

過去の資料

過去の資料を集めて、変化の背景やルーツを探ります。今回の授業では「事例0」として時計を出していますが、ここでは時計の歴史を4つのブロックに分けて整理しています。資料整理の参考にしてください。

① 非時計(日時計など)

紀元前3000年頃から存在。古代エジプトや中国、ギリシャなどに見られる「影で時間を読む装置」。この時代の特徴は、太陽の動き=時間という発想。天文学と直結しています。

→ 丸い盤面、針の回転方向(北半球では時計回り)

② 塔時計(中世ヨーロッパ)

教会の塔に設置された大時計。時を告げるのは**音(鐘)**であり、文字盤より「聞く」ことが主目的。

→ 公共性の高い時計。個人ではなく、町全体が「同じ時間を共有する」ための装置。

③ 懐中時計(17〜19世紀)

ぜんまい式の登場で、時計が「持ち歩ける」ものに。装飾性が強く、ネックレスのように身につけたり、懐にしまったり。

第一次世界大戦を機に、腕時計へと移行(実用性の向上)。

④ デジタル時計(1970年代〜)

LEDやLCDの登場で、表示の自由度が一気に拡大。数字表示が主流となり、「針」や「盤面」の制約を超える。

スマートウォッチやIoT機器との連携も、ここから加速。

今日の授業の目的

今の形がどこから来たのかを知ることは、未来の形を作るための第一歩です。今日の授業では、資料を集めながら、時計の形に内在する「文化」「技術」「価値観」の変化を一緒に読み解いていきました。形には意味があり、時代ごとに求められた役割があります。評価対象は投稿数資料収集ページのコメント数が一定以上ある場合を評価します。

「デザイン=形」ではなく、「形=物語や背景の蓄積」なのだということを、時計という身近なアイテムから実感していってもらえればと思います。

次回は、各自が選んだ時計をリサーチし、そのルーツをまとめて発表していく予定です。やり方は次回説明します。

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