大阪・関西万博2025おすすめパビリオン

コラム

まるで小さな世界旅行!大阪万博の楽しみ方

世界中の“今”と“未来”が一堂に会する場所、それが万博。

2025年に開催される大阪・関西万博は、世界各国が科学や技術、文化、社会の進歩などをテーマにした展示を行う国際的なイベントです。ルーツをたどれば、産業革命の勢いを背景に、1851年のロンドンで開かれた「万国博覧会」までさかのぼります。それ以来、万博はいつも「ちょっと先の未来」を見せてくれる場所であり続けてきました。

とはいえ、あまりに規模が大きくて「どこから見ればいいの?」と戸惑う人も多いはず。1日じゃとても回りきれない展示の数々を前に、ついつい迷ってしまいますよね。

そんなあなたに今回は、ちょっとマニアックな視点から“おすすめパビリオン”をご紹介します。定番スポットを押さえるだけでなく、「こんな面白い展示もあったんだ!」と驚ける、通好みの楽しみ方をお届けします!

選定基準
・開幕前の情報で構成しています。
・私の主観が多分に含まれます
・アートに関連する箇所のみの抜粋です。
・落ち着いて鑑賞できる大人向けパビリオンです。

開催概要

2025年4月13日から10月13日までの半年間、大阪・夢洲(ゆめしま)で開催される「大阪・関西万博」。テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」です。

このテーマには、「一人ひとりが自分自身の生き方や幸せを見つめ直し、可能性を発揮できる社会を、世界のみんなと一緒に創っていこう」という願いが込められています。そして、それが持続可能な形で実現されることも重要なポイント。

2020年にコロナ禍を経験した私たちは、“いのち”や“つながり”の大切さを改めて実感しました。この万博は、そんな世界が次に進むためのヒントを見せてくれる場所でもあるのです。

そもそも万博(万国博覧会)は、産業や文化、科学技術の成果を世界各国が持ち寄って紹介し合う国際展示会。1851年、ロンドンの「水晶宮」で開催された初の万博以来、各国が未来を見せる舞台として進化してきました。

今回の大阪・関西万博には、史上最多となる約160の国と地域、そして国際機関が参加予定。日本で行われた過去5回の万博の中でも、最大規模です。

パスポートも不要で、世界中の文化やアイデアに触れられる——まさに“世界旅行”ができるような空間が、夢洲に広がります。

見逃せないのが、木造の大屋根「リング」。会場の中心にぐるりと広がるこの構造物は、まるで世界を一つにつなぐような象徴的な存在です。伝統的な木造建築の技術と、最新の構造設計が融合したこのリングは、建築的にも大注目のスポット!

おすすめ1:イタリアパビリオン

引用元:公式webサイトより

万博といえば各国の個性あふれるパビリオンが魅力ですが、最初にご紹介したいのがイタリア館。ルネサンスの国ならではの、“過去と未来の融合”が体感できる、見応えたっぷりのスポットです。

コロッセオを現代に再解釈した建築

まず目を引くのが、その建築デザイン。古代ローマのコロッセオをモチーフにしながら、現代的に再構築されたこの建物は、ルネサンス時代の「理想都市」の精神を受け継いでいます。伝統と革新が美しく共存する、まさにイタリアらしい空間です。

芸術、デザイン、研究…イタリアの広義の“アート”が集結

パビリオン内では、イタリアが誇る多彩な分野の展示が展開されます。

  • 美しいプロダクトデザイン
  • 世界を魅了するファッション・
  • 工学や先端技術、イノベーションの成果

これらを「芸術」の一部としてとらえるのがイタリアのスタイル。伝統的な美意識と未来への挑戦心が、あちこちから感じられます。

彫刻ファン必見!「ファルネーゼのアトラス」も登場
Wikipedia

古代好き・アート好きにはたまらない展示も。ナポリ国立考古学博物館の名品、「ファルネーゼのアトラス」が紹介される予定です。

これは紀元前2世紀のギリシャ彫刻で、ギリシャ神話の巨人・アトラスが宇宙(天球)を背負っている姿を描いたもの。筋肉の隆起や血管の描写、なびく布の表現など、圧倒的な造形力が見どころです。

このモチーフは多くの芸術家にも影響を与えてきました。アトラスは、ゼウスとの戦いに敗れた罰として、空(天)を支え続ける運命を背負わされた存在。その姿には、重責を担いながらも力強く立つ人間の姿が重なります。

レオナルド・ダ・ヴィンチの手記も登場

ルネサンスの天才、レオナルド・ダ・ヴィンチの手稿も見どころのひとつ。彼の独創的な発明スケッチや思想のかけらが、未来に生きる私たちにも新たなヒントを与えてくれるかもしれません。

毎日開催のライブパフォーマンス

さらに注目なのが、パソナグループとのパートナーシップによる劇場空間。会場では毎日、音楽やダンスなどのパフォーマンスが繰り広げられ、イタリアの“生きた文化”を体験できます。まさに、五感で楽しむパビリオンです。

ちなみにパソナは、iPS細胞やアトムといった“命”や“未来”を象徴する技術支援にも取り組んでおり、ここでも「いのち輝く未来社会」という万博のテーマとリンクしています。

おすすめ2:バチカンパビリオン

引用元:公式webサイトより
再生と団結を願う、バチカン市国の祈りと芸術

イタリア館の中には、バチカン市国のパビリオンも登場します。世界で最も小さい国でありながら、スピリチュアルな影響力では最大級。その展示内容もまた、深く心に響くものとなりそうです。

今回バチカンが掲げるテーマは、「再生と団結の世界共通言語としての芸術と信仰」。信仰だけでなく、アートを通じて人々をつなごうというメッセージが込められています。

そしてなんと、あのカラヴァッジョの名画「キリストの埋葬」が来日予定。劇的な明暗表現(キアロスクーロ)で知られるこの作品は、カラヴァッジョの代表作のひとつ。死と再生というテーマが、2025年の世界にどう響くのか、ぜひ現地で感じてほしい一枚です。

その他にも、ローマ教皇が選んだ珠玉の名画が展示される予定。宗教美術の枠を超え、普遍的な人間の営みや希望を描いた作品群が並びます。

ちなみにバチカンパビリオンのロゴデザインにも注目。サン・ピエトロ大聖堂のドームと、日本の日の丸が融合したビジュアルは、宗教と文化、東西の美意識が出会う象徴のようです。

おすすめ3:チェコパビリオン

引用元:公式webサイトより
人生のための才能と創造性

芸術とクラフトの国、チェコも注目のパビリオンを展開します。実はこのチェコ館、海外パビリオンの中でも情報解禁がいち早く、発表当初から大きな話題を集めていました。テーマはずばり、「人生のための才能と創造性」。

このテーマのもと、チェコ館では芸術、工芸、音楽など、暮らしと深く結びついた“創造の力”が紹介されます。

ガラスのらせんを歩きながら、芸術と景色を楽しむ

チェコ館の建築もユニークです。ガラスで覆われた円形の建物に設計されており、内部には螺旋状のスロープが続いています。来場者はそのスロープをぐるぐると歩きながら、外に広がる万博会場の風景と、館内に展示された芸術作品の両方を楽しむことができるという構造。建築そのものが“体験型のアート”になっているのです。

このガラスのデザインを手がけたのは、チェコのガラスアーティスト、ロニー・プレスル(Rony Plesl)。透明感と曲線の美しさを活かした建築は、まさにチェコならではの魅力が詰まっています。

ミュシャのレプリカや、伝統工芸も登場

チェコといえば忘れてはならないのが、アール・ヌーヴォーの巨匠アルフォンス・ミュシャ。チェコ館では、彼の代表作のレプリカ展示も予定されており、ファン必見です。

さらに、世界的に有名なボヘミアガラスや、深紅の輝きが美しいチェコガーネットといった伝統工芸品も紹介されます。美術館に行くような気分で楽しめる展示ですが、実は…お土産として購入できるアイテムもあるとのこと!チェコの美と技を、自宅に持ち帰るチャンスです。

中央のイベントホールでは音楽体験も

パビリオンの中央にはイベントホールがあり、期間中には音楽を中心としたさまざまなパフォーマンスが行われる予定。チェコの音楽文化も体感できる、まさに“耳でも楽しむ”パビリオンです。

Xより

おすすめ4:オーストリアパビリオン

引用元:公式webサイト
未来を作曲

クラシック音楽の本場・オーストリアは、音楽の力で「いのち輝く」を表現するという、まさにオーストリアらしいアプローチで万博に参加します。モーツァルト、シューベルト、ハイドン…音楽史を彩る偉人たちの故郷が、今回はどんな“響き”を聞かせてくれるのでしょうか?

音楽そのものが建築に?五感で味わう空間体験

オーストリア館では、建物そのものが「音楽」としてデザインされています。外観から内部の空間まで、音のリズムや構造が建築と一体化しているというユニークな発想。視覚だけでなく、聴覚や身体感覚で楽しむことができる、没入型のアート体験です。

AIで“あなたの音楽”が生まれる

最新技術も見どころのひとつ。パビリオン内では、AIを活用した作曲体験ができ、来場者自身が音楽を“つくる側”として参加できます。メロディやハーモニーをAIがサポートしながら作曲するプロセスは、音楽に詳しくなくても楽しめるインタラクティブな体験です。未来の音楽教育や創作活動の可能性を感じさせてくれる展示になっています。

5月23日は必見!ウィーン少年合唱団が来日

期間中の特別イベントとして、5月23日には世界的に有名なウィーン少年合唱団のパフォーマンスが予定されています。澄んだ歌声が会場に響きわたる瞬間は、まさに“いのちが輝く”体験になるはず。音楽ファンは要チェックの一日です。

日本とつながる特別展示も

日本とのコラボレーションも見逃せません。会場にはYAMAHAのグランドピアノが展示され、しかもピアノの側面には葛飾北斎の《神奈川沖浪裏》があしらわれているという粋な演出が。伝統と革新、東洋と西洋の出会いが、美しい音とビジュアルで表現されています。

おすすめ5:飯田グループ×大阪公立大学共同出展館

引用元:公式webサイト

大阪・関西万博では、「未来の暮らし」をテーマにした日本企業のパビリオンも要注目です。今回ご紹介するのは、ある大手不動産会社が手がけるパビリオン。テーマはずばり、「いのちを守り、つなぎ、育む家」。私たちの最も身近な生活の舞台=“住まい”から、持続可能な未来を見つめる試みです。

未来の生活空間がここに再現

パビリオンでは、新しいエネルギー資源を活用した“未来の住まい”を体験できる展示が用意されています。室内環境、エネルギー循環、都市とのつながりなど、これからの暮らし方にまつわるヒントが満載。環境への配慮と快適性の両立をどう実現するのか、そのビジョンに注目です。

建築コンセプトは「サステナブル・メビウス」

このパビリオンの建築デザインも見逃せません。コンセプトは、“サステナブル・メビウス”。メビウスの輪のように内と外、過去と未来、自然とテクノロジーをつなぎながら、循環する暮らしを表現しています。形状そのものが“持続可能な未来”のシンボルになっているんです。

伝統技術×最先端技術の融合:西陣織の外観に注目

外観でひときわ目を引くのが、京都・西陣で生産される紋織物を使った意匠です。今回はなんと、独自の織り機と3Dマッピング技術を組み合わせ、伝統的な織物に立体的な表現を加えています。まさに“伝統と進化の融合”。織物が建築の一部として使われるという、新たな美のかたちに驚かされることでしょう。

現在の情報では、西陣織の展示は主に外観とグッズ展開にとどまっているようですが、それでも十分に印象的。現地ではついつい写真を撮りたくなる、そんなデザインになりそうです。

知と文化が交差する空間:大学や伝統芸能とも連携

このパビリオンには、大阪公立大学(大阪府立大と市立大が統合して誕生)の研究力も活かされています。理工学や医学の分野と暮らしを結びつけるアイデアにも期待です。

また、初日には市川團十郎さんが登壇し、トークセッションが開催予定。住宅パビリオンとは思えないほど文化的・文学的な側面にも力が入っており、今後のプログラムにも注目が集まります。

おすすめ6:Co-Being

引用元:公式webサイトより
五感で感じる、“響き合う未来”の空間

次にご紹介するのは、建築でもテクノロジーでもなく、人の感覚そのものに問いかけてくる屋外展示パビリオン。監修を務めるのは、医療や社会哲学に関する発信でも知られる社会医学者、宮田裕章(みやた ひろあき)さん。そして、アートファンにはたまらない参加メンバーが勢ぞろいしています。

持ち歩く“石”とともに体験する、不思議な空間

この展示では、来場者は「echorb」と呼ばれる不思議な石ころのようなオブジェクトを手にしながら、屋外空間を歩きます。太陽や風、雨といった自然の要素と呼応するように設計された空間の中で、自分自身と環境が“響き合う”感覚を味わう、非常に身体的・感覚的な展示です。

どこか原始的な世界観を思わせるのに、体験は近未来的。シンプルなのに複雑。自然とテクノロジー、アートと哲学の間に立つような、なんとも不思議な感覚が体を包みます。

森と響き合い、“境界を越える”建築

このパビリオンは、「静けさの森との境界線を引くのではなく、森と溶け合い、響き合う」ことを目指してつくられています。つまり、ただ建物として“立つ”のではなく、自然との関係性そのものがコンセプトになっているということ。環境と人間のあり方を再考させられるような空間です。

参加アーティストも超豪華

塩田千春さん(《存在の不在》シリーズなどで知られる、身体と記憶をテーマにする現代美術作家) 宮島達男さん(デジタルカウンターによる「生と死」のインスタレーションで有名) 建築は、世界的建築ユニットSANAA(妹島和世+西沢立衛) キュレーションは、金沢21世紀美術館館長の長谷川祐子さん

「ああ、もう行くしかないじゃないですか。元とれる。」と、アート好きの方はうなずいているはずです。

共鳴体験は、すでに始まっている?

実は、来場者の「共鳴体験をサポートするWEBアプリ」も事前に用意されていて、展示を見る前からすでに“体験”が始まっています。会場に行くだけじゃなく、その前後にも世界観に触れられるのは新しい形のアート鑑賞。アプリの内容にも注目です。

「いのち輝く」というテーマに、これほど直接的で感覚的にアプローチするパビリオンは他にないかもしれません。哲学、芸術、自然、未来——あらゆるものが交差するこの場所は、感じるための空間として、ぜひ一度は足を運びたい注目スポットです。

他にもご紹介したいパビリオンがあれば、引き続き記事化していきます!

いずれシリーズ記事として「マニアック視点でめぐる大阪万博ガイド」などにまとめても面白いですね。

おすすめ7:null2

引用元
“無”を感じる空間体験

万博というと、派手な建物や最先端技術が注目されがちですが、「存在ってなに?私ってなに?」という根本的な問いに、アートとテクノロジーで挑むパビリオンがあるんです。手がけるのは、メディアアーティストであり、研究者の落合陽一さん。

彼が提示するのは、人類がまだ見たことのない、インタラクティブな構造体。その名も「null(ヌル)」。

「null」=なにもない。でも、なにもないって何?

「null」という言葉は、プログラミングやモーショングラフィックスの世界では「空のデータ」「何もないオブジェクト」などを意味します。たとえば、モーショングラフィックスでは、nullオブジェクトをかませると動きが滑らかに連動する——それが気持ちいい。

でも、今回の展示での「null」はもっと哲学的。落合さんが好んで語る仏教思想、とくに「色即是空(しきそくぜくう)」——つまり「すべての存在は空である」という考え方と深くつながっています。

目の前にあるものが“実体”として存在しているようでいて、実は固定された存在ではない。常に移ろい、揺らぎ、変化している。それが本来の姿なのだと。

西洋の“イデア”と、東洋の“空”

私のYouTubeチャンネルで以前話題にした「イデア論」では、「実体の外側にこそ真実がある」というのが基本的な考え方。でも、般若心経の思想はまるで逆。外側にも、内側にも、真実はない。“なにもない”ことそのものが真実である。

この“空”という思想を、デジタルとテクノロジーの力で可視化する。それが落合さんのつくる空間の本質なんじゃないかと、私は感じています。

あなたの身体が“無”になる?

このパビリオンでは、訪れた人々の身体がデジタル化され、構造体の中で有機的に変形し、自律的に動き出す体験が待っています。つまり、自分の身体が“固定された存在”ではなくなる。映像のなかで、流動する、揺らぐ、もはや「自分なのかどうかもわからない」ような存在になっていく——。

その不思議で哲学的な感覚を、ぜひ自分の五感で体験してほしいと思います。

派手な装飾も、わかりやすいキャッチーな展示も、ここにはないかもしれません。でも、きっとあなたの中に深く残る体験になるはずです。

“存在とはなにか?”

そんな問いに、テクノロジーと仏教と身体感覚で挑む場所——それがnullです。

終わりに

今回ご紹介したパビリオンたちは、いずれも「ちょっとマニアック」な視点で選んだものばかり。だけど、そこにはきっと、「まだ知らなかった世界」や「ちょっと先の未来」が詰まっています。

テクノロジー、芸術、信仰、哲学、暮らしのかたち——

それぞれの国やクリエイターたちが描く未来像に触れることは、自分自身の価値観や感性をちょっとだけ広げてくれる体験でもあります。

1日じゃとても見きれない大阪・関西万博。

だからこそ、自分だけの視点で「これ、見たい!」を選び取るのが、楽しみ方のコツ。

この記事が、そんな万博の旅のちょっとした道しるべになればうれしいです。

それでは、未来をのぞきに、夢洲で会いましょう!

🌍 大阪・関西万博2025 アート好き必見パビリオンガイド

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